2009年12月4日金曜日

歴史ラボ「現代美術の流れを知ろう」第一日目

12月4日夜7時から21時、小金井市役所第二庁舎にて歴史ラボ「現代美術の流れを知ろう」の第一日目が開催されました。

参加者は会議室がほぼ満杯の20名以上集まり、外は寒いながらも会場は知的な熱気であふれていました。(ただ、少し暖房は大人しめで、寒かったですね。すみません。翌日からは暖かな空気の中、行われました。)

第一日目は、2〜3日目の現代美術をたっぷりと楽しむために、とりあえず現代美術につながる、近代美術—モダンアートの教科書的な話を駆け足で、ということでした。

(写真はニューヨーク近代美術館が行った「キュビズムと抽象美術」という展覧会の際に当時館長を務めていたアルフレッド・ヴァージニアが作成したモダンアートの流れのチャートです。)

誰もが知っているマネ『草上の昼食』、ティツアーノ、スーラ、モネ、ルノワールなどを駆け足で通り過ぎ、ピカソおよびキュビズムの段になってだんだんと講義が詳細になってゆきます。

ピカソの表現の物理的な表現方法のみならず、政治的な側面やリアリティという概念にまで話が及びます。

例えば、一般によく知られている「迷彩柄」は、第一次大戦に従軍していたキュビストが作ったと言われているそうです。キュビストの中にも、社会と積極的に関わりを持とうとした人たちがいたのだとか。

また、1880年代から、自画像におけるリアリズムに変化が生じ、リアリズムの意味が変わって行ったというお話も興味深いものでした。それまでは鏡に映った自分をモデルに自画像を描いたとしても、映っている洋服は鏡に映ったそのままではなく、左右を現実に合わせて逆にして描いていたそうです。セザンヌの自画像はそのように描かれているそうです。
しかしクールベの自画像は、洋服も鏡に映ったそのまま、左右が現実とは逆になった状態で(日本の着物で言うと死に装束でしょうか)描かれているそうです。
これも絵を描くという行為の捉え方の変化として、非常に興味深いお話だったと思います。

そしてダダ、シュルレアリスムへと話は進み,だいたい1930年代までを第一日目で終えました。

「教科書的」と最初に断られていましたが、教科書では知り得ないたくさんの知識のエッセンスが盛り込まれた、とても濃密な講義でした。紹介していただいた作家と作品の数も膨大で、プロジェクタでスクリーンに次々に映し出される作品を観ているだけでも楽しいという感じでした。

そして、講義は第二日目へ続きます。

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